こんにちは!ケアステ編集部です。
精神障がい者グループホームで実務経験を積みながら、「介護福祉士」取得を目指す『岡田のおばちゃん』による連載ブログの第4回。
楽しいことが大好きで、入居者さんへの愛情たっぷりの彼女ならではの視点と言葉で、グループホームでの日常の出来事や介護のお仕事の実体験をお伝えしていきます。
精神障がい者グループホームは、毎日がワクワクのアトラクション
楽しくて嬉しくて幸せすぎ。
第4回 「アラカワさんのこだわり」
おはようございますアラカワさん。
アラカワさんは、背の小さいおじさんで妖精みたいな可愛らしい人だ。
お部屋の掃除をしようと、ノックして中を見ると、アラカワさんはカーテンも開けず、電気もつけずにベッドに座っておられた。
アラカワさん、掃除してもいいですか?と聞くと、
「あっはい、はい、はい、あの、あの、今日は、掃除はいいです、え、え、」
と囁くような声でおっしゃった。
でも、床が汚れていたから、ちょっとだけ掃除機だけかけさせて下さいませんか?と部屋の電気をつけたら、床にいろんなものが散らかっていた。
ドアの左側に洗濯ネット、その横にカーテンをまとめてとめる布、その横に毛糸で編んだベスト、右側のタンスの下あたりに今月のカレンダーが丸まって落ちており、タンスの上には4・5本の歯磨きチューブが置いてあり、小さくちぎったペーパータオルが、濡れたまま散らばっている。
タンスの引き出しは半分開いたままになっていた。
あららぁ、散らかってるので片付けましょうねと言うと
「あー、あの、あっ、はいはい。」
と困った顔をされたが、落ちてるカレンダーと、服と、カーテンの留め布だけ上に置いて、タンスの上を拭いて掃除機をかけて外に出たのだが…
しばらくしてお部屋を覗くと…
さっき見たままのところに、カレンダーもカーテンの留め布も服も置いてあった。
あれ?あっ、もしかして、このままが落ち着くんですか?
「あー、そ、そーです。す、すみません、え、え、え、あそう、あっそうです。」
あらあら、私こそすみません、勝手に動かしてしまって、これからは、床だけ掃除させてくださいね。
「あ、ありがとうございます。え、え。」
と、暗いお部屋から優しい小さな声でお返事があった。