介護福祉士への挑戦「岡田のおばちゃん 介護職ブログ」第3回

こんにちは!ケアステ編集部です。

精神障がい者グループホームで実務経験を積みながら、「介護福祉士」取得を目指す『岡田のおばちゃん』による連載ブログの第3回。
楽しいことが大好きで、入居者さんへの愛情たっぷりの彼女ならではの視点と言葉で、グループホームでの日常の出来事や介護のお仕事の実体験をお伝えしていきます。


精神障がい者グループホームは、毎日がワクワクのアトラクション
楽しくて嬉しくて幸せすぎ。

第3回 「マイペース(後編)」

「岡田さーん。私、次何したらいいの?」

エミさんは少し怒り口調で睨んだ。

何って、まず服脱がなあかんわ。

「上から?下から?」

どっちゃでもと言いかけて

上から脱ぎましょかと言い換えた。

 

「見とってな。」

はいはい。

エミさんは、ゆっくりゆっくり脱ぎ始めたので私は、その隙に脱衣所から顔だけ出して他の利用者さんと話をし始めた。

そろそろ脱ぎ終わった頃やろと後ろを向くと、エミさんは、上着を脱いだまま、振り向いた私を睨んでいた。

「岡田さん、誰と喋ってんの?」

エミさんは、口は達者なのに、一向に手が動かない。

「靴下脱ぐよぉ」と声がしたので、

お願いします〜と言うと

「脱ぎました」と返事があった。

「今から入りまーす。」

ハイどうぞ。

「初めはシャンプーでいいですか?」

ハイどうぞ。

「次はリンスしまーす。」

ハイどうぞ。

「洗顔しますよぉ。」

ハイどうぞ。

「次は身体洗いま〜す。」

ハイどうぞ。

「背中洗ってもらえますか?」

はいはい。

「全部流しますよ。」

ハイどうぞ。

「湯船に浸かりま〜す。」

ゆっくり浸かってくださいね。

……

「岡田さん、そこにいますか?

もう上がってもいいですか?」

ハイどうぞ。お風呂の栓抜いて上がってね。

「わかりました。」

エミさんは、上がってからも、確認しながら服を着始め、やっとのことで身だしなみを整えると、

「岡田さん、次もまたお願いしますよ。」

と言われたが、

早く1人で入れるようになって欲しい。

介護福祉士への挑戦「岡田のおばちゃん 介護職ブログ」第2回

こんにちは!ケアステ編集部です。

精神障がい者グループホームで実務経験を積みながら、「介護福祉士」取得を目指す『岡田のおばちゃん』による連載ブログの第2回。
楽しいことが大好きで、入居者さんへの愛情たっぷりの彼女ならではの視点と言葉で、グループホームでの日常の出来事や介護のお仕事の実体験をお伝えしていきます。


精神障がい者グループホームは、毎日がワクワクのアトラクション
楽しくて嬉しくて幸せすぎ。

第2回 「マイペース(前編)」

おはよう、エミさん。

エミさん(仮名)は、私が出勤してくると
「わたし今日、お風呂やけど、岡田さん、入れてくれんの?」と聞いてくる。

私よりひとつ年上の彼女は、あらかた何でも一人でできるのに、すごく心配症で、何かある度に、確認される。

「いいですよ。掃除終わってからやったら、いつでもいいから、お風呂入る準備しといてくださいね」
と言うと、自分の部屋に入って行かれた。

私は、お風呂のスイッチを入れてから階段、床、各部屋、ダイニング、キッチンの掃除を終えて
「もう準備できた?」
とエミさんの部屋に行くと
「岡田さん、何したらいい?」
と、ベッドに座って上目遣いでこちらを見ておられた。

「いつものお風呂の用意やけど…替えの下着と洗濯物持って来て下さいね」
と言ったら
「どれがいいかわからへん。岡田さんが選んでよ」
とイライラされた。

「ご自分の好きなのを選んでいいですよ」
と、言うとやっと引き出しを開けて選び始められた。

この間、ずっと見てないと手が止まってしまうので、時間がかかるからと言って他のことはできない。1分経ち…2分経ちやっと
「これにしてもいい?」
と、おっしゃるので
「いいですよ」
と言ったら
「やっぱりこれにするわ」
と、やっとこさ選んだ下着を持って出てこられたが、洗濯物のカゴを指さして
「岡田さん、あれ持って来て」
と、おっしゃった。

「ご自分で持って来て下さいね」と言うと「持てない」とおっしゃる。

どんなことでも、できることは時間がかかっても、ご自分でしてもらうようにお伝えしている。

「エミさん、自分で持って来て下さい。そんな重いもんじゃないでしょ。」
「こっちの手は、下着で塞がってんねん」
「じゃあ、もう一つの手が空いてるでしょ。」

この長めのやり取りで、少し不穏な空気が漂ったのか、フロアにおられたアキさんとジュンさん(仮名)が、私たちをじっと見守っておられた。

やり取りに疲れた私が、エミさんを部屋に残してお風呂場に行こうとすると、エミさんがボソッと
「岡田さんてマイペースやなぁ」
と呆れたようにおっしゃった。

その時、普段はおとなしいアキさんが、ふふふっと笑って
「どっちがやねん」
と言って下さったおかげで、エミさんは
「ほんまにマイペースやわ」
と言いながら、洗濯カゴを持ってお風呂場に向かって来られた。

つづく・・・

介護福祉士への挑戦「岡田のおばちゃん 介護職ブログ」第1回

こんにちは!ケアステ編集部です。

2020年6月から2021年3月にかけて、このケアステブログで、介護職員初任者研修資格取得までの道のりを連載していた『ゆうちゃん』が、
この度、『岡田のおばちゃん』として、ケアステブログに帰ってきました!

▼ブログ「介護職員初任者研修資格」取得までの道のり~ゆうちゃんの挑戦~は、こちらをご覧ください。
「介護職員初任者研修資格」取得までの道のり~ゆうちゃんの挑戦~

現在、なんと!すでに!63才なのですが、
「もっと介護のことを勉強し、もっと深く知りたい。現場で働いてみたい。
国家資格の「介護福祉士」の試験に合格して、若い介護職さんのフォローもしながら、利用者さんの介護も続けたいし、新しく入ってきた利用者さんの介護計画も作成したい…」
と、さらなる夢が膨らんでいました。

「介護福祉士」を取得する方法はいくつかありますが、その中で彼女は、
「実務経験ルート」で、介護福祉士の取得を目指します!

「実務経験ルート」では、
介護施設等で実際に介護職員として働き、実務経験3年以上かつ従事日時540日以上

実務者研修(座学と演習)の受講
が必須となります。

彼女は、単発のアルバイトで働いたことがある「精神障がい者グループホーム」がとても気に入り、ここで週5日働いて経験を積み、介護福祉士取得を目指すことにしました!

障がい者グループホームとは、障がいのある方々が地域の中で少人数で暮らす「住まい」です。
自宅での生活が困難な方が入所されるので、生活に必要なサポートは職員が行います。

この「介護職ブログ」では、楽しいことが大好きで、入居者さんへの愛情たっぷりのおばちゃんならではの視点と言葉で、グループホームでの日常の出来事や介護のお仕事の実体験をお伝えしていきます。

彼女が、ブログを始めることをグループホームの管理者さんにお話しすると、
「介護施設には、高齢者施設と障がい者施設があって、高齢者施設のことは広く知られていても、障がい者施設のことを知っている人は少ないから、ブログを通して、多くの人に知ってもらいたい」
と応援してくれたそうです。

前置きが長くなりましたが、「岡田のおばちゃん 介護職ブログ」始まります!


介護福祉士への挑戦
「岡田のおばちゃん 介護職ブログ」

精神障がい者グループホームは、毎日がアトラクション
楽しくて嬉しくて幸せすぎ。

第1回 「ヘナヘナ語」

おはよう!ソルさん!もう歩けた?

ソルさん(仮名)は、ホームに来た時は、ゆっくりでも自分で歩けてたというのに、今は車椅子に乗っている。

家族さんとは上手く話せるのに、家族さんが帰ると途端に聞き取れないヘナヘナ語で話し出す。

何故か私を『はんほふはん』(看護婦さん)と呼び、何ですか?というと「ほいへほいへ」え?何ですか?トイレ?「んんん〜」???「ひょんへん」ソルさん、ちゃんと喋って「あ〜!へた!」出た?え〜もう早く言ってよと言ったら「言ってるやん」とニヤニヤしている。

ソルさんは、手すりに捕まれば何とか少しなら立っていただけるので、少しの介助でトイレで用を足せるのに、ヘナヘナ語がわかりにくいせいで、リハビリパンツの中がえらい事になりやすい。

以前管理者に、用を足したい時はトイレと書いた旗を上げてもらったら、早めに対処できてパットやリハビリパンツの消費も減るので、どうですかと聞いたら却下された。

そんな事をしたら、ソルさんが話す事をしなくなるという事だった。

本当は、話せるのに何故、職員にはヘナヘナ語で話すのかわからないが、ソルさんは、いつも変わらずニヤニヤしている。

目下の目標は、自分で車椅子を動かしてトイレや自室に移動すること。 オリンピック中には「ソルさん!頑張れ!あと2メーターで予選通過!」と言うと、のら〜りくら〜りからヨタヨタにギアが入る。

ヨシ!予選通過したら次は、車椅子を卒業して自分で歩くよ。

心配しておられるお母さんに、歩けるようになったって見せてあげようね、というとソルさんは、真顔でグータッチをしてくれた。